
約2年ぶりにスターダムマットに復帰した林下詩美がインタビューに応じ、現在の心境を明かした。6月20日(土)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催される「STARDOM THE CONVERSION 2026」では、8人タッグマッチで上谷沙弥と対戦する。運命の再会マッチを迎えるにあたり、何を思うのか――。
――スターダムマットに帰還して5試合をこなした
詩美 うーん、なんか、もっと懐かしいとかそういうふうに感じるのかなって思っていたんですけど、新しいもの、知らないものが多すぎて全然慣れないです。すごく今に精一杯です。
――5・26後楽園のリングにサプライズ登場した。どんな気持ちであのリングに
詩美 いろいろな気持ちがありすぎて…。上谷の前に立ちたいって気持ちはすごく強かったんですけど、今のスターダムを応援してくれている人に「誰、この人?」って、まず知られてないんじゃないかとか。林下詩美を知っている人がいても、よく思わない人は絶対にいると思うので、たくさん言われるんじゃないかとか。上谷の前に立つ緊張もありましたし、ファンの人たちの前に立つ緊張っていうのも大きかったです。
――実際に感じた会場の雰囲気はどうだったか
詩美 まず、入場曲が流れた時に、そこでもうすでに林下詩美に気づいてくれる人がいて、なんか安心しちゃいました。そこまでがすごく怖かったので、気づいてくれた方がいて、自分が出た時には「詩美」コールも聞こえて。まだリングにも上がってないし、上谷の前にもしっかり立ててないのに、すごく安心して…。 ファンの人に、勝手に背中を押されたような気持ちになりました。「ここに、戻ってきても良かったんだ」って思えました。

――久々に向き合った上谷選手の表情を覚えているか
詩美 はい。まず表情もですけど、対峙した時点で、もう私の知ってる上谷はいないんだなっていうのはすごく感じて。当たり前なんですけど、この2年の間にたくさんのことが変わって、自分だけがあの時のままで止まったままだったので。全然知らない上谷に、それでも会いに行かなきゃいけないって思っていたので。でも、会いに行く時に正直自分は、ちょっとまだ何か期待してしまっていたので、上谷の目の前に立って表情を見て、「それももう、難しいことなんだな」っていうのは感じました。
――何を期待していたのか
詩美 あの時ずっと私たちは隣にいたので、どんな時も。もしかしたらまた上谷と隣に立てるんじゃないかとか、上谷がすっと自分を受け入れてくれるんじゃないかっていう期待は少しありました。
――でも、あの時の上谷選手の反応見て吹っ切れたのでは
詩美 そうですね。あの時上谷と話をして、もう上谷の隣には立てないんだなっていうのはすごく感じたので。それでも上谷の前に立って、伝えなきゃいけないことはもっと伝えたい、もっといろいろなことを上谷とリング上で伝え合わなきゃいけないっていうのは残ってたので。隣に立つことはもうできないけど、上谷の正面には立たなきゃいけないなと思いました。

――あの後楽園のリングでは「上谷に負けたくないと思った。だから今日、ここに来るしかなかった」と発言した
詩美 上谷に対しての嫉妬心はすごくありました。でも、上谷に追いついてやろうっていう気持ちももちろんあるんですけど、上谷の存在のでかさがあったからこそ、林下詩美、もっとプロレスラーとして頑張りたいっていう気持ちにさせてくれたので。私は勝手に上谷に嫉妬してるし、勝手に上谷っていう存在が私の背中を押してくれていて。良い良い意味でも悪い意味でも、上谷っていう存在が私の原動力になってました。
――2024年3月にスターダムを離れた後、上谷選手のどんな様子が聞こえてきたか
詩美 上谷がプロレス大賞で歴史に残るような(MVP&女子プロレス大賞の)ダブル受賞をして、それはすごく印象に残ってますし、何よりも上谷がいろんな人の目に触れるようなテレビに出たりだとか、テレビで生中継の試合をしたりとか。それは全部、私がいつかそうなりたかったこと。大きい賞を取ることもそうですけど、プロレスを知らない人にプロレスを届けるっていう、自分がしたいことを上谷はしていたなって思います。

――復帰3戦目の6・6仙台大会では再び上谷選手と遭遇した
詩美 あの時、(刀羅)ナツコに言われた通り、やっぱり私が知っているのは大江戸隊であって、でも今は大江戸隊なんてものはなくてH.A.T.E.になっていて、みんなが変わっていた。改めてもう私の知っているものじゃないんだなっていうのを感じました。あの時、試合に上谷はいなかったけど、(途中で)上谷が出てきて、私たちが使っていたマジックキラーを使われた。上谷もたくさん思うことあると思うんですけど、あの日、ちょっと上谷のことがわかんなくなりましたね。上谷も私が何を考えてるかなんてわかんないと思うけど、私はあの日、より一層わからなくなりました。
――わからなくなったんですか
詩美 林下詩美には興味なさそうな振りをしてたくせに、試合中に出てくるし、マジックキラー使ってくるし。興味がないのか、あるのか、もう私のことなんて視界にも入れたくないのか、まだ見てくれているのか、わかんないです。

――あの日のリングで上谷選手に6・20代々木での対戦を求めた。だがシングルは断られ、「タッグなら」と条件を課された。そこで6・14後楽園でゴッデス王者の02line(AZM&天咲光由)に共闘を要請した
詩美 あの2人は…。あの2人と、もともと隣にいたから、一緒にいたからっていう簡単な理由では全然なくて。自分がいない間の2年間、そして戻ってきてからの時間、自分は上谷にたくさん伝えたいこと、言いたいことがあるんですけど、伝えたいことがあるのは上谷だけじゃなくて。AZMさん、光由の2人にも、元同じユニットのメンバーとしてじゃなくて、林下詩美個人として伝えたいことがたくさんあったので。もちろん、まだ私が目の前に立って伝えなきゃいけない相手はいるんですけど、まずAZMさん、光由の2人に伝えたいことがあって、隣にいてほしくて、あの日会いに行きました。

――くしくも、あの後楽園大会では負傷離脱していた渡辺桃が復帰を表明。6・20代々木ではAZM&天咲&スターライト・キッド&詩美vs渡辺&上谷&小波&ビー・プレストリーの8人タッグが組まれた
詩美 自分はもちろんそうなんですけど、各選手がいろんな思いを抱えてると思う。ただの渡辺桃の復帰戦にもならないと思うし、ただの私と上谷のリングで会う時間にもならないだろうし、ただの私とAZMさん、光由が隣に立つっていう時間でもないと思うし。この日、私の中で止まっていたスターダムの時間がやっと動き出すのかなっていうのはすごく感じます。
――上谷選手に伝えたいこととは
詩美 たくさんあるんですけど、この2年間の間見てたこと、本当にすごいなって思ったことだったり、みんなと離れてしまった日のこととか…。簡単に言葉にするのはすごく難しいですし、私は考えを言葉にすることも苦手なので。だからゆっくり時間がもっとある時に、リングでプロレスラーとしてでも伝えたいし、上谷が向き合ってくれるんだったら私の言葉を、ゆっくり少しでもいいので、一つだけでもいいから聞いてほしいです。正直、まだ自分の中でも伝えたいことがまとまってないっていうか、何から伝えたらいいのか、何を一番に伝えたいのか、自分がどういうふうに伝えたらいいかっていうのも分かってないので。それくらい上谷にはいろいろな思いがありすぎて、やっぱり私の特別なので…。上谷はこんなことを言われたくもないかもしれないけど、私にとって上谷は特別なので、全部聞いてほしいです。
――どんな気持ちで6・20決戦を迎えられそうか
詩美 緊張だったり不安だったり、もちろん私の中にはすごくあるんですけど、でもその日に2年ぶりに会う人たち、隣に立つ人たちがいて、自分でもどうなるかが分からないので。緊張するし、すごく不安だし、考えることいっぱいあるんですけど、楽しみです、全部が。
――スターダムのリングでは今後何をやり遂げたいか
詩美 また女子プロレス界のトップに立ちたいです。今度は私がもっとたくさんの人にプロレスを知ってもらいたいし、私がプロレスラーとしてもっともっと、まずは上にいきたいです。「林下詩美」っていう存在に私自身がすごく期待しているので、林下詩美まだまだこんなもんじゃないと思うし。もっともっとすごいやつだから、林下詩美がもっと輝くためにスターダムで最強で最高の存在になりたいと思います。

【プロフィル】はやしした・うたみ 1998年9月14日生まれ、鹿児島・奄美出身。18年8月12日のスターダム後楽園大会でジャングル叫女相手にデビューし、直後の「5★STAR GP」に出場。同年度の「プロレス大賞」新人賞を受賞した。20年10月にワールド王座を初戴冠し、21年度の女子プロレス大賞を初受賞。24年3月末にスターダムを退団したが、26年5月に2年ぶりの復帰を果たした。必殺技はトーチャーラックボム。166センチ、72キロ。
▽STARDOM公式YouTubeチャンネルにてインタビュー動画公開中

