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2026/07/17
コラム

なつぽいが明かす苦悩の2025年 7・18IWGP女子王座戦へ「忘れていた感情、忘れ物を取りにいきます」

〝ハイスピード・フェアリー〟なつぽいがインタビューに応じ、王者・朱里とのIWGP女子王座戦(7月18日、大田区)への心境を明かした。10周年イヤーとなった2025年、底抜けの笑顔の裏でもがき苦しむ姿があった。だが、今は違う。たぎる感情を取り戻した妖精が「今世紀最大の挑戦」に臨む――。

――今回のIWGP女子王座戦を「今世紀最大の挑戦」と位置づけた真意は


なつぽい いろんな思いを込めてはいるんですけど、正直あんまり語りたくないところもあって。でも、相手が朱里さんっていうところで、モノが違う女、最強の女っていう、もう誰もが分かるじゃないですか。この戦いは自分のすべてを懸けた戦いになるなっていうふうに覚悟を決めて挑んだ戦いだったので、「今世紀最大」っていう言い方をしました。

――その覚悟を胸に6・20代々木でV4を果たした朱里選手の前に現れた

なつぽい 自分が花道歩いてる最中に男性も女性も声が聞こえたんです。「なつぽい? えっ、何でなつぽい? なつぽいだ、なつぽいだ!」みたいな、すごい驚きの声がもうじかに入ってきてましたね。

――なぜなつぽい選手がIWGP女子だったのか観客も驚いていた

なつぽい そうですよね。率直に言えば、久々に心底から欲しいと思ったベルトでしたね。私がプロレス人生の中で一番初めに欲しいって思ったベルトが白いベルト(ワンダー王座)なんですけど、白いベルトに対して燃えていたときの気持ちってなかなかなれなくて。いろんなベルトに挑戦してみたりとか、いろんな仲間たちといろんなベルトを持ってきました。全部素晴らしいベルトなんですけど、心の底から「このベルトを手に入れたい」って思ったベルトが、白いベルト以来でしたね。

――これまではIWGP女子に対して、それほど気持ちはなかったのか

なつぽい なかったっていうよりは、考えもしなかったっていう感じですね。「私じゃないよな」みたいな。それこそSareeeが戦っていたりしたのをずっとそばで見てたんですけど、「わあ、すごいな」って、お客さんとして見てるような気持ちで。「私も」っていうふうにはならなかったんですよね。客観視してました。

――なぜ今回はIWGPへの気持ちが芽生えたのか


なつぽい やっぱり一番影響したのは、鷹木(信悟)さんの存在かなって思います。それこそ2025年に10周年を迎えて、そこから目標が見つけられなくなっちゃったんですよね。10周年を終えてから、これといって燃えられるものがなくて。私、本当に0か100の人間なので、もう急に0になっちゃうんですよ。で、0になったときに、プロレスをやっている意味が分からなくなったりとか、何のために戦ってるんだろうって思ったりとか。なんかそんな気持ちになっちゃったのが2025年だったかなっていうふうな気がするんです。その中で、鷹木さんのIWGP戦をリングサイドで見たりする機会もあったりするうちに、「あ、IWGP欲しいかも」みたいな気持ちがドンドン湧き上がってきて。そうなったら猪突猛進なので、ここを見始めちゃったんですね。私の親友であるSareeeが巻いていたりとか、憧れの存在だったKAIRI選手が巻いていたりとか、私の大切な人たちがみんな通ってた道。で、気づいたら私の周りにはIWGPがあふれてたのかなっていうことに気づかされて、「え、これって私が狙ってもいいのかな?」みたいな感じの気持ちから挑戦表明までに至りましたね。

――25年は目標を失っていたという言葉があったが

なつぽい なんか、もがいてましたね。こう、(5月31日大田区の)10周年興行が終わって、タッグのベルトに挑戦したのは本当次の月(6月21日代々木)だった。そのときは本当に(安納)サオリとこの10周年の勢いのまま取るぞって、もちろん燃えてはいたんですよ。あれを取れなくて、そこからですかね。結果を出せなくて落ち込んでたんじゃなくて、何て言うんだろうな。なんかここ1~2年で、やっぱスターダムの景色っていうのはすごい変わったと思うんですよ。私たちのリーダーである(中野)たむちゃんもいなくなったりっていうこともあって、本当にもう景色が180度変わったと思っていて。その変化に、心がついていけてなかったかなっていうふうに思いますね。時代はどんどん進んでいて、お客さんもたくさん入ってて、すごくうれしいことなんですけど、自分の心がついていけなくて。このままじゃ駄目だとは思ってもがいてみるんですけど。それがそれこそ赤いベルト(7月21日札幌大会で当時のワールド王者・上谷沙弥に挑戦)だったりとか、あの「エースになる」みたいな発言してみたりとか、目標を探しながらもがいてたんですけど、とことん空回りして。うーん。結局、無理やりこう、気持ちを持っていただけで、自分の中で「これだ」と思える目標は見つけられてなくて。そんな状態でしたね。

――リング上では笑顔だったが、苦悩があった

なつぽい  そうですね。何ていうか、うーん、やっぱこう、どんなに悩んでも、もがいていても、たとえこう気持ちが0になっちゃってたとしてとしても、リングでの戦いは続いていくので。戦わないといけないし、カードは組まれるし、その中でこう、自分を奮い立たせようと頑張ってはいるんですけど、やっぱなかなか難しくてっていう。リングではもちろん「ぽい!」ってしますけど、でも結構苦しかったですね。

――一番苦しんだ1年だったのでは

なつぽい 10周年までの10年間は本当に走り続けてきたので。いろんなことはありましたけど、もう小さいことでも本当に全力で走ってて、その全力さが自分の中で消えてしまったときに、目標も見失ったときに、どこに向かって走ればいいのか分かんなくなっちゃったし、そんなのがこの10年間なかったから、初めての気持ちだったんですよね。

――本来メモリアルイヤーで結果を残して駆け抜けていたかった25年だった


なつぽい そうですね。振り返ると、私スターダムに来て5、6年くらいはたつと思うんですけど、2025年が初めてベルト巻けなかった年だったんですよ。スターダムに来てDDMに所属させていただいて、すぐハイスピードのベルトを奪取できて、そこからアーティストだったりゴッデスだったりとかっていうのをへて白いベルト。本当にずっとつながってて。で、初めて1年間まるまるベルト巻けなかったのが2025年で。たむちゃんと(安納)サオリとの最高峰トリオでアーティストを巻いて年を越して、年始にすぐ落としちゃってから、ずっとベルトを巻けなかった年は本当に初めてで。やっぱりプロレスラーにとってベルトを持ってる持ってないとか、ベルトを追ってるか追ってないとかって、気持ちの面でもこんなにも違うんだなっていうのを思い知りました。

――スターダムの光景が変わったという話があったが、2026年に入り玖麗さやか選手や羽南選手がベルトを巻くなどフレッシュな顔ぶれが中心になりつつある

なつぽい スターダムすごいなみたいな、誇らしい気持ちももちろんあるんですけど、私個人としては、コンディションの面では今が一番いいと思ってるので。まだまだ現役で、しかも10年目って言ったら、そんな別にベテランっていう枠でもないので、なんなら「今からだぞ」っていうようなところで、悔しさはありますよね。負けてられないなっていう気持ちと、負けたくないなみたいな気持ちはあります。

――朱里選手とは縁が深いが、なつぽい選手にとってどんな選手か

なつぽい 本当に心から尊敬してる選手なんですよね。努力を惜しまないし、あんなに強いのにまだ努力するし、ストイックだし、真面目だし。本当に尊敬するところしかないぐらい、そんな選手なんですよね。私はDDMに入る前、スターダムに入る前に舞台のお仕事をさせていただいたときに、朱里さんがお姉ちゃん役だったことがあって。そのときにはまだ自分がDDMに入るなんて思ってもなかったときだったんですけど、そんなつながりもあって、もうずっと「朱里姉ちゃん、朱里姉ちゃん」って呼んでいた時期があって。で、まさかのDDMに入ってからも、もう本当に妹みたいな感じでかわいがってくださりました。

――その朱里選手とこのタイミングで向き合う

なつぽい 一番初めに当たったのが、(21年4月10日後楽園大会の)シンデレラ・トーナメントで、まだDDM同士だったときの戦いで。ハイキックかバズソーか、蹴り一発で沈んでるんですよね。あのときの感覚、今でも忘れてなくて。その次に戦ったのが(23年8月8日京都大会の)5★STARで、15分ドローだったんですよね。そのときに私が朱里さんに、「今の私、最強に近づけてますか?」みたいなことを聞いたんですけど、「私とドローしたんだから近づいてるに決まってんだろ」みたいなこと言ってもらえて。すごくうれしかったんですけど、もう次は超えるだけだっていうのをずっとそのときから思っていて。それがこう形が変わってIWGPとちょっと時間かかっちゃったけど、こういう形でまた向き合えるっていうのは、つながってるなって思います。

――あのとき朱里選手に言った言葉を証明するときがきた


なつぽい そうですね。朱里さんを超えるっていうことが、朱里さんに対しての恩返しかなって思ってるので、でも朱里さんは朱里さんで「まだ見せたい景色がある」みたいなことをおっしゃってたじゃないですか。お互いに負けたくない、互いの意地と意地がぶつかり合うような戦いになるのかなって思うと、より超えたいなって気持ちが湧き上がってきます。

――2026年の夏はどんな夏にしたいか


なつぽい そうですね。今まで忘れてたもの、自分の感情だったりとか、こう燃え上がる闘志だったりとか、何かに向かってこうギラギラしているような、そんな気持ちになったのが、本当に久々だったし、いろいろ忘れてたものがあるなって思うので、それを取り戻す夏にしたいなと思ってます。

――取り戻せそうか

なつぽい  はい、もちろん、取り戻します。新しい自分で、新しい世界をまたつくり上げていく一歩になるんじゃないかなっていうふうに思います。

――最後に

なつぽい この夏、忘れていた感情、忘れ物を取りにいきます。

7月19日生まれ、神奈川・横浜市出身。幼少期からタレント活動を始め、バトントワリングは全国大会に出場経験もある実力者。高校卒業後は舞台女優として活動していたが、万喜なつみのリングネームで2015年9月のアクトレスガールズ新木場大会でデビュー。20年10月のスターダム横浜大会にDonna del Mondoの新メンバーとして登場。ハイスピード王座、アーティスト王座を獲得した。22年7月にCOSMIC ANGELSに電撃移籍し、中野たむとの「meltear」でゴッデス王座を獲得。CDデビューも果たした。24年7月の札幌大会ではライバルの安納サオリからワンダー王座を奪取。25年5月には安納との10周年記念興行が開催された。